そら豆の食べ方は茹でるだけではなく、焼く、揚げる、炒めるなど調理方法はいろいろ、チーズやベーコンなど香りのある食材との相性も抜群なので、子供にも大人にもおすすめできる食材です。
しかし、そら豆を食べ過ぎて下痢や腹痛を起こすと言われているのです。
実際に食べ過ぎてお腹の不調を経験した人もいるのではないでしょうか。
原因を知って、未然に防げるものであれば防ぎたいものです。
今回は『そら豆を食べ過ぎると下痢や腹痛になりやすいのはなぜ?』をテーマに紹介します。
食べ過ぎが下痢や腹痛になるのはなぜ?
そら豆に含まれる成分に原因があるようなので、詳しく見ていきましょう。
そら豆には食物繊維が豊富
そら豆には食物繊維が豊富に含まれています。
水溶性食物繊維は100gあたり1.3g、不溶性食物繊維は100gあたり8gと不溶性食物繊維を特に多く含んでいます。
水溶性食物繊維は水に溶けやすい食物繊維で、腸内で善玉菌のエサとなり柔らかい便を作り出します。
また、栄養素の吸収を穏やかにし食後の血糖値の上昇を抑制する働きがあり、コレステロールやナトリウムを体外へ排出する作用もあることからコレステロールの低下、高血圧の予防にも役立ち、生活習慣病の予防に期待ができます。
不溶性食物繊維は水に溶けにくく、便に水分を含ませ便の量が増えることで腸に刺激が与えられ、蠕動運動が活発になり排便を促します。
腸内の有害物質を便と一緒に排出する働きを持ち、腸内環境を整えることから大腸がんのリスクを低減させるとも言われています。
そら豆は水溶性食物繊維より不溶性食物繊維が多く含まれていて、食べ過ぎると異常な蠕動運動の活発化を誘発しかねません。
蠕動運動の活発化は便の通過時間を短くし、本来行われるはずの水分の吸収も正常に行われないことから下痢や軟便を引き起こし、それに伴う腹痛も起きてしまうのです。
「サポニン」「レクチン」が下痢を引き起こす
そら豆に特化する成分ではなく、豆類の多くに含まれる「サポニン」と「レクチン」。
この成分から得られる健康増進作用もあるのですが、体に害を及ぼすことがあります。
サポニンは抗酸化作用があり、活性酸素や過酸化脂質の除去に役立ち、コレステロールの蓄積を抑え動脈硬化など血管疾患の予防に働き、肝臓にかかる負担を減らし肝機能の向上にも役立ちます。
他に、免疫力アップの働きがあるので風邪などの予防に働き、脂肪の蓄積を抑制する働きもあるので肥満予防や生活習慣病の予防にもつながります。
しかし、サポニンが界面活性作用を持つことから過剰摂取は溶血作用が強くなり細胞膜、赤血球を壊してしまいます。
その結果、多くは消化器系に悪影響を及ぼし、下痢や嘔吐の症状を引き起こしてしまいます。
レクチンは免疫力アップの働きがあり風邪などの予防、炎症を抑制する働きもある他、肌荒れの改善にも期待ができるとされています。
しかし、レクチンにはフィトヘマグルチニンという成分が含まれていて、この成分が下痢や嘔吐などの消化器系に影響を与えます。
マメ科の植物に含まれるフィトヘマグルチニンは加熱調理が必要となります。
フィトヘマグルチニンはフライパンで煎る、低温調理器で煮るなどの調理方法ではその作用を減らすことができないためです。
食べる際には高温で調理し、しっかり中まで柔らかくなったものを食べるようにしましょう。
その症状、アレルギーかも
そら豆は豆類の中でもアレルギーが起きづらいとされています。
しかし、そら豆を食べ過ぎたわけではないのに下痢や腹痛が起きてしまう人もいるようで、その症状はもしかするとアレルギーかもしれません。
大豆アレルギーの人は注意
大豆アレルギーとはよく聞きますが、その大豆アレルギーの原因となるタンパク質はそら豆にも共通しています。
そら豆だけではなくえんどう豆やピーナッツにも共通しているため、これらを食べて下痢や腹痛などの症状が出ることがあります。
そら豆を食べ過ぎたわけではないのに症状が現れた場合は食べることを止め、場合によっては医療機関への受診をおすすめします。
アレルギーの症状は下痢や腹痛以外にも湿疹、蕁麻疹、咳、喘息、嘔吐、鼻水、目の痒みなどの症状が現れることもあります。
アレルギーにはアナフィラキシーショックという全身性の症状が複数現れ、呼吸困難や意識低下などの重篤な症状も現れることがあるので注意が必要となります。
そら豆は中毒を起こすこともある!?
そら豆に中毒症状が出るとは知らない人は疑いもしない話です。
しかし、そら豆には中毒を起こすことがあります。
その原因として、そら豆にビシンという糖アルカロイド(毒性)が含まれていて、腸内細菌によって分解されたときに生じるジビシン、イソウラミルがあげられます。
そら豆中毒の症状は溶血による発熱と倦怠感が現れ、黄疸や溶血性貧血も起こり、死に至ることもあります。
このような恐ろしい症状でありながら日本ではニュースになったことを見ることがありません。
その理由はそら豆中毒を発症する人には遺伝的素因(X染色体の異常)が関係し、イタリアなどの地中海地域で生まれた男性に多く見られ、他には北アフリカ、中央アジアなど、そら豆を準主食として日常的に食べている地域でも多く見られます。
そら豆の健康効果は?
そら豆には悪い働きばかりではなく、当然体に嬉しい栄養も含まれています。
ビタミンB1は糖質からエネルギーを作り出し、不足すると疲労物質が溜まりやすくなります。
脳神経系の正常な働きにも関係していて、気持ちを安定させる、イライラを防ぐなどにも役立っています。
ビタミンB6はタンパク質からエネルギーを作り出し、筋肉や血液を作る時に重要な栄養となります。
タンパク質を多く摂る人には必要量が増えます。
皮膚や粘膜を健康に保つのに役立っていて、不足すると皮膚炎、口内炎、蕁麻疹などのアレルギー症状が起こりやすくなります。
そら豆には葉酸が多く含まれています。
葉酸は特に妊娠中の人には大切な栄養で、タンパク質や細胞を作るためのDNAの合成に重要で、胎児の正常な発育に必要となり、先天性の異常を予防するための役割もあります。
また、ビタミンB12との相互作用により、悪性貧血の改善にも役立っています。
そら豆にはミネラルも多く、カリウム、マグネシウム、鉄などが含まれています。
カリウムには利尿作用があり、むくみを防止する他、体内のナトリウムを排出する働きがあることから、血圧を下げる働きや高血圧の予防に役立ちます。
マグネシウムはカルシウムと同じ様に骨や歯を形成する重要な成分です。
血圧の維持、エネルギー産出、神経の興奮を抑える、心臓の働きを正常に保つなどの働きがあります。
鉄は血液を作る成分で、酸素を体内に運搬する働きがあります。
貧血の予防や改善に効果があります。
そら豆の食べ過ぎに関するまとめ
そら豆を食べ過ぎて下痢や腹痛になる理由
①食物繊維が多く含まれていること
②サポニンの界面活性作用
③レクチン中のフィトヘマグルチニン
また、食べ過ぎではない下痢や腹痛の症状には大豆アレルギーの人は注意が必要で、その理由としてアレルゲンである大豆とそら豆のタンパク質が共通していることにあります。
食べ過ぎやアレルギーには注意が必要なそら豆ですが、栄養もたくさん含まれています。
いろいろな調理方法もあるので、是非取り入れてみてはいかがでしょうか。
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