キャッサバは日本のスーパーで見かけることはあまりありませんが、名前だけは中学の地理で聞いたことがあるような・・と感じ、実際にはどのようなものかわからない人も多いかと思います。
キャッサバはアフリカや南米、東南アジアなどが産地で主食となる地域もあり、よく食べられているものなのですが、食べ過ぎは毒があり危険と聞きます。
主食として食べている人はその毒の影響を受けることはないのでしょうか。
日本ではあまり知られていないキャッサバがどのようなものか、毒が本当に含まれていて危険なのかを紹介していきます。
今回は『キャッサバの食べ過ぎは危険?毒があるってホント?』がテーマです。
キャッサバって何?
聞いたことはあるけど馴染みのないキャッサバ、どのようなものなのか簡単に紹介します。
キャッサバって?
キャッサバは熱帯の地域で栽培されるキントラノオ目トウダイグサ科イモノキ属の植物で、茎の根元に両端が細い芋(根)がつきます。
サツマイモのような形をしていますが皮が簡単に剥けるわけではなく、キャッサバの持つ皮は木の幹のように固いものです。
キャッサバは大きく分けると苦味種と甘味種の二種類に分けられ、苦味種はデンプン源作物として、甘味種は野菜として加工や調理をしたのちに食用になります。
その味は甘みの少ないサツマイモ、クリの味と似ているとも表現されます。
キャッサバは生産量の95%が食用とされ、食用以外にも家畜の飼料やバイオ燃料としても注目を浴びています。
意外!身近な食べ物にも
ドリンクやスイーツで有名なタピオカ、タピオカはキャッサバから抽出されたデンプンからできているのです。
タピオカはキャッサバを加工して抽出されたデンプンを加熱したのち、粒上にして乾燥させ、タピオカパールと呼ばれるものになります。
これを茹でて戻せばタピオカの完成です。
他にももちもちとした食感がとてもおいしい、ミスタードーナツのポン・デ・リング。
大人気商品のポン・デ・リングにもキャッサバが使われています。
ポン・デ・リングの場合はキャッサバ粉が使用されていて、これはブラジルのパンの一種であるポン・デ・ケージョというキャッサバ粉とチーズで作られたもちっと食感が特徴のパンが由来となっています。
キャッサバに毒はある?
身近なスイーツにも使われているキャッサバですが、本当に毒が含まれているのでしょうか。
キャッサバの毒
キャッサバの生産量のうち95%が食用とされていますが、キャッサバには毒が含まれます。
キャッサバに含まれる毒は青酸配糖体(シアン化合物)という猛毒で、皮と芯に含まれ、葉は特に多く含んでいるので大変危険です。
日本のスーパーであまり目にすることがないのは、生食状態のキャッサバを輸入することに規制がかけられているからだったのです。
ただ、日本でも鹿児島県や沖縄県、静岡県などで栽培はされています。
もし購入するのであれば、毒抜きをしっかりしてから食べるように注意してください。
毒の症状(シアン中毒)
キャッサバを食べるのに毒抜きは必須ですが、青酸配糖体を摂ってしまった場合の症状を紹介します。
青酸配糖体は体内に入ると細胞内の酵素と結合し、細胞呼吸を阻害します。
この働きは、時間をかけることなく中枢神経系や呼吸器系に症状を与え、初期症状である頭痛、めまい、頻脈、呼吸の増加、代謝性アシドーシスなどが現れます。
その後に現れる症状として興奮、意識障害(中等度・重度)、無呼吸、徐脈、痙攣、肺水腫(肺胞に体液成分がたまり、酸素が取り込めなくなる)などが現れます。
重症の場合は上記に併せて瞳孔の拡大や、呼吸機能や循環機能の働きを悪化を併発した意識障害、昏睡、痙攣などの症状が確認されています。
キャッサバの毒抜き
青酸配糖体と聞けば毒抜きはしっかりしないと食べることができないですよね。
そこで、いくつかの毒抜き方法を紹介します。
- 毒性の低い品種を選んだ上で、青酸配糖体濃度の高い皮と芯の部分を除去したあとに加熱して食べる。
- 水に溶ける性質を持つ青酸配糖体は、キャッサバを茹でて小さく薄くカットしたものを流水や潮水に浸す。(茹で時間:2時間+水を変えて2時間 水に浸す時間:16時間以上で84%の毒を抜くことができると言われている。)
- キャッサバ自体に青酸配糖体を分解する酵素が含まれているので、皮を剥いてすりおろし又は細かく砕いたキャッサバを一晩~一日置くことで、青酸配糖体が分解される。
このキャッサバの水分を搾り、焼くなどの加熱調理や乾燥保存させる。
方法はこれだけではなく、産地ではいろいろな方法で毒抜きがされています。
キャッサバの食べ過ぎは危険?
キャッサバには毒が含まれているので、毒抜きをしていないものを食べ過ぎることは当然とても危険な行為です。
では、他にキャッサバを食べ過ぎてしまった場合には何か危険は及ぶのでしょうか。
- クワシオルコル
クワシオルコルとは栄養失調の一種で、タンパク質が極度に不足することとエネルギーが十分に摂ることができないことで起こります。
日本で起きることは考えづらいことですが、アフリカや東南アジアのあまり開発が進んでいない国での乳幼児に多く見られる症状で、クワシオルコルの特徴としてお腹が大きく膨れることがあげられます。
本来母乳からタンパク質を得るのですが、母親の死亡や次の子の誕生により母乳から引き離され、主食がキャッサバなど(ヤムイモやサツマイモ)の薄いお粥が主食となるため十分なタンパク質を得られないことが原因で起きる症状です。
- 甲状腺腫
日本ではまず心配のいらないことだとは思いますが、キャッサバを主食としている国では風土病として甲状腺腫などが多発しています。
毒性の少ないとされている甘味種の青酸配糖体は1kgあたり50㎎以下のものとされていますが、これも毎日主食として食べていると青酸配糖体の慢性毒性から甲状腺腫などを発症してしまいます。
キャッサバの食べ過ぎに関するまとめ
キャッサバを食べるにあたり、必ずするべきことは毒抜きです。
キャッサバには青酸配糖体が含まれていて、毒抜きをしなければ食べることはできません。
皮と芯、特に葉には多くの青酸配糖体が含まれているので、しっかり毒抜きをしてから食べましょう。
食べ過ぎに関する健康被害に関しては日本で起きることは考えづらいのですが、主食としている地域ではクワシオルコルと甲状腺腫が問題視されているようです。
タピオカやミスタードーナツのポン・デ・リングなど身近なスイーツにキャッサバが使われていたので、意外と感じる人もきっといたはずです。
日本でもキャッサバは生産されているものの、スーパーなどで見る機会はまだ多くありません。
もし、手に入った時は毒抜きを欠かさずに行ってから食べてくださいね。
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