空芯菜は読んで字の如く茎の中が空洞になっている野菜で、近年ではスーパーで見かけることもよくあります。
中国やタイなど東南アジアでよく食べられていて、定番の料理はニンニクと塩コショウで炒めた青菜炒めでシンプルながらもつい食べ過ぎてしまう一品です。
そんな空芯菜を食べ過ぎても体調を崩すことはないのでしょうか。
あまりなじみがなく効率よく栄養効果を得る食べ方も知られていませんよね。
そこで今回は『空芯菜を食べ過ぎても大丈夫?栄養効果を上げる食べ方があるってほんと?』をテーマに紹介します。
空芯菜って何?
もともとは中国の「空心菜」を日本語読みにしてクウシンサイとなりましたが、実はこのクウシンサイという呼び名は登録商標で本来はヨウサイ(蕹菜)という名前です。
熱帯や湿地、水上でも栽培可能で、更に汽水域(淡水と海水が混在するところ)でも成長することが近年明らかになりました。
水上でも育つことから食べ物としてではなく、水質浄化活動にも用いられることも多くあり、他にも様々な可能性があると研究が続けられています。
日本でも沖縄や九州地方などの温かい地域での栽培が徐々に広がっていて、スーパーやネット販売などでも購入できるようになってきています。
空芯菜を食べ過ぎても大丈夫?
つい食べ過ぎてしまいがちな空芯菜の青菜炒め・・、空芯菜の食べ過ぎで体に悪影響は出ないのでしょうか。
シュウ酸が多く含まれている
シュウ酸が多く含まれていることで有名なホウレンソウですが、空芯菜にもホウレンソウと同等のシュウ酸が含まれています。
シュウ酸を多く含む食材を食べ過ぎると尿路結石になる恐れがあります。
本来、シュウ酸はカルシウムと結合する特性を持っていて、腸内で結びついたシュウ酸は便として体外に排泄されます
しかし、シュウ酸が多い状態では全てが便として排出されるわけではなく、尿中から排泄されてしまうのです。
カルシウムと結合する特性を持っているシュウ酸は尿中でカルシウムと結びつき、石状のものが作られ排泄されづらくなってしまい尿路を通過しづらくなります。
空芯菜などのシュウ酸を含む食材を食べるときには、カルシウムを多く含む食材(鰹節、ちりめんじゃこ、ワカメ、牛乳など)も一緒に摂るようにしましょう。
カルシウムを多く摂取すれば腸内で結合され、余剰分が尿中に排泄されることを防ぎます。
食べ過ぎは体を冷やす
空芯菜は薬膳として考えると「寒」という性質に分類されます。
寒が何を示すかと言うと、体を冷やすということにあたり、食べ過ぎは体を冷やしてしまいます。
体が冷えると冷え性はもちろん、内蔵が冷え、代謝も悪くなり・・とさまざまな不調が出てきます。
また、便秘を改善する食材でもあるので、下痢をしているときの食べ過ぎにも注意が必要です。
寄生虫に注意が必要
空芯菜を栽培しているところの近くに酪農をしているところがあると、寄生虫が付くことがあるので注意が必要です。
牛、豚、山羊などの哺乳類の胆管には肝蛭(かんてつ)という2~5㎝程の寄生虫がいることがあり、糞と一緒に出てきた卵が淡水の巻貝に寄生し、成長して貝から出てきたものが水辺の植物に付きます。
幼虫のついた空芯菜を気づかずに洗わず食べると感染することがあります。
感染すると胆管炎を起こし、胆管炎による右腹の激痛、発熱、下痢、吐き気などが見られます。
食べる前にはよく洗う、生食もされている空芯菜ですができれば湯通しをするなど予防が必要となります。
痙攣の噂について
日本ではなじみのない噂ですが、中国では空芯菜を食べ過ぎると痙攣を起こすと言われています。
これは中国の広東省で言われている俗説です。
実際にこのようなことはありませんので、安心して食べてください。
空芯菜の栄養は?
栄養価が高いと言われている空芯菜、利用価値が高いものとされていますが、どのような栄養素が含まれているのか、注目すべきものを紹介します。
空芯菜は緑黄色野菜で、β-カロテンを多く含んでいます。
β-カロテンは体内でビタミンAとして活躍し、肌や髪の健康維持、視覚の暗順応、粘膜を守って抵抗力を強める働きがあります。
また、体のサビの原因となる活性酸素を除去る働き、強い抗酸化作用、病から体を守る免疫力向上の働きがあり、生活習慣病やお肌の老化などの予防に有効です。
空芯菜には血圧が高い人には積極的に摂ってもらいたいカリウムが含まれています。
塩分の摂り過ぎで上がってしまう血圧、カリウムは体内の水分と塩分のバランスを保つ働きがあり、塩分の排出を促し血圧を下げます。
また、神経や筋肉の情報を脳に伝える働きがあります。
これらの栄養素を一括りにしましたが、ビタミンK、カルシウム、マグネシウムにはどれも骨を丈夫にする働きがあります。
ビタミンKは骨粗鬆症の薬にも利用されていて、骨とカルシウムを結び付け、骨の形成を促進します。
カルシウムは骨や歯の形成に大きく関わっていることは有名ですが、細胞、筋肉、神経、血液とも重要な関わりを持っているので私達の生命維持に欠かせない栄養素と言えます。
カルシウムは99%が骨に含まれていますが、マグネシウムも50~60%が骨に含まれていて、体内で不足する場所があればカルシウムも共に遊離して補うという重要な役割があります。
鉄分は造血作用があり、赤血球を構成するヘモグロビンの材料です。
25%程は肝臓や脾臓などに貯蔵されていて、赤血球内に鉄分が不足すると貯蔵分から補う働きがあります。
また、空芯菜には葉酸も多く含まれていてこちらも造血作用があります。
葉酸は細胞分裂や体の成長などに関わる重要な成分なので、妊婦さんには積極的に摂ってもらいたい成分です。
空芯菜には食物繊維が多く含まれていて、中でも不溶性食物繊維が豊富にふくまれています。
不溶性食物繊維は水分を含むとカサが増え、腸が刺激され蠕動運動が活発になることで便の通過を促します。
また、不溶性食物繊維は食べる時咀嚼回数を増やし、胃の中に留まる時間が長いので満腹感が得られ、食べ過ぎ防止にもなります。
栄養効果が上がる食べ方は?
空芯菜にはたくさんの栄養がふくまれていましたが、これらを効果的に摂る方法はあるのでしょうか?
空芯菜はβ-カロテンを含んでいることは先程紹介しましたが、これを効果的に摂る方法は油を一緒に摂ることです。
β-カロテンの吸収が良くなり、抗酸化作用のアップに期待ができます。
また、同じく抗酸化作用のあるごま油やオリーブオイルを使うのも相性が良くおすすめです。
空芯菜は造血作用のある鉄分、葉酸が含まれます。
鉄分は非ヘム鉄でヘム鉄より吸収されづらいという難点があります。
それを効率良く摂取するために、ビタミンCの含まれている食材と一緒に摂ることがおすすめです。
また、葉酸と共に働くビタミンB12を多く含む食材を摂ると赤血球の生産も促されるでしょう。
空芯菜は不溶性食物繊維を多く含んでいますが、食物繊維が多いからとたくさん摂りすぎてしまうと、便秘になってしまうことがあります。
便秘解消や腸内環境を整えるなどの効果を得たい時には、水溶性食物繊維を摂ることが大切になるので、バランスよく食べるようにしましょう。
空芯菜の食べ過ぎに関するまとめ
空芯菜にはシュウ酸が含まれていて、食べ過ぎは尿路結石になる恐れがあり、予防のためにカルシウムを含む食材と一緒に摂ることがおすすめです。
また、体を冷やす食材ですので、食べ過ぎは冷え性や代謝の低下、消化不良などが起きることがあるので注意が必要です。
更に、水辺などで栽培されたものには寄生虫が付くことがあるのでしっかり水洗いをし、できれば湯通ししたものを食べましょう。
栄養はβ-カロテン、カリウム、ビタミンK、カルシウム、マグネシウム、鉄分などが含まれていて様々な効果を得ることができます。
抗酸化作用、免疫力向上、降圧作用、むくみ防止、骨の形成、造血作用、整腸作用などの働きがあり、効果を上げるために油、ビタミン、水溶性食物繊維と一緒に食べることがおすすめとなります。
食べ過ぎには注意が必要ですが、一種類でこれだけの栄養が得られる食材なので、積極的に取り入れたいものですね。
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