クワイは見た目から「芽でたい」「芽が出る(出世)」、地下茎にこどもがいっぱい付くことから「子孫繁栄」など縁起が良いとされていておせちには定番のものです。
年末になるとよく見られ、おせち以外にもいろいろな形で食べられています。
しかし、食べたことはあっても栄養効果や食べ過ぎの影響は案外知られていないものです。
今回は『クワイの栄養効果とは?食べ過ぎても大丈夫?』をテーマに紹介するので、食べたことがない人にも是非食べてもらえたらと思います。
クワイって何?
クワイの見た目は丸い塊にツノ(芽)がニョキっと生えているようなもので、知らない人には変わった印象を与えるかもしれません。
クワイの歴史は古く、平安時代に中国から日本に伝わったという説があります。
青クワイ、白クワイ、吹田クワイの3種類が栽培品種でそれぞれの特徴があります。
青クワイは日本で主に食べられている品種でホクホクとした食感と若干の苦みがあることが特徴で、ユリ根と似ているとも言われます。
白クワイは中国でよく食べられているもので青クワイとは違いシャリシャリとした食感です。
吹田クワイは大阪府吹田市の名産で、他のクワイよりも小型の塊根を付けます。
味は青クワイよりも濃く、独特な苦みの中にうまみがあります。
クワイはアクが強く、水につけてアクを抜いてから調理をします。
さまざまな国で食べられているものではなくて、食用としているのは日本と中国だけということです。
クワイの栄養効果は?
食べた感じはイモ類と似ているクワイですが、ビタミンやミネラルが豊富に含まれていて、さまざまな効果を得ることができます。
ビタミンE
クワイにはビタミンEが多く含まれています。
ビタミンEは強い抗酸化作用を持ち、体や肌の錆び・老化を防ぐ効果があります。
具体的に活性酸素や過酸化脂質などの産出を抑制、血液中の悪玉コレステロールの酸化の抑制で血管を健康に保ち、生活習慣病の予防や肌の老化の予防にも役立ちます。
また、血流を改善するので、冷え性の改善や肩こりや頭痛を緩和する働きがあります。
血流の改善は新陳代謝が良くなり、肌のターンオーバーが活発になることで美肌へと導きます。
ビタミンB群
クワイに含まれるビタミンB群で含有量が多いものはビタミンB6、葉酸、ビオチンがあげられます。
- ビタミンB6
ビタミンB6はタンパク質や脂肪の代謝や筋肉・血液などを作り出す時にも必要な成分です。
免疫機能の維持、皮膚と粘膜の健康維持にも働き、神経伝達物質の合成にも役立ちます。
- 葉酸
妊娠中に多く必要な成分とされています。
葉酸はタンパク質や細胞を作る時に必要となるDNAの合成に不可欠な成分で、細胞分裂が活発なお腹の赤ちゃんの成長に重要な役割を担っています。
妊娠中にしっかり摂っておくことで先天性の障害(神経管閉鎖障害)のリスクを低減させることができます。
また、ビタミンB12と協力して血液を作り出す働きもあり、不足は悪性貧血につながります。
- ビオチン
他の野菜と比較するとビオチンの含有量が多いです。
ビオチンは糖代謝・脂肪酸代謝・アミノ酸代謝に必要な成分の補酵素としてエネルギー産出するために働いています。
皮膚や粘膜、爪や髪の健康維持にも欠かせない栄養素で不足は肌や髪の状態が悪くなることがあり、他にも食欲低下やうつなどが現れることもあります。
ミネラル
クワイにはミネラルも豊富で、カリウム、亜鉛、銅が多く含まれます。
- カリウム
クワイはカリウムを多く含んでいて、その量は100gあたり600㎎と野菜類の中ではトップクラスの含有量です。
カリウムの働きはナトリウムとともに細胞の浸透圧の調整、水分とナトリウムのバランスを調整するなどの役割があります。
塩分を摂り過ぎると血圧が上がる、浮腫みなどの症状が現れますが、カリウムは腎臓でのナトリウムの再吸収を抑制する働きがあり、尿中へ排出することを促すので、これらの予防・改善に役立ちます。
他に筋肉機能や細胞内の酵素の働きを調節する役割もあります。
- 亜鉛
亜鉛は体のさまざまな場所で重要な役割を担っています。
細胞やDNAの合成に必要な栄養素で、細胞の生まれ変わりが活発な胎児の成長にも重要な役割を果たしています。
肝臓、腎臓、膵臓、筋肉、骨など新しい細胞を作り出す組織では欠かせない栄養素である他、活性酸素の除去や味覚を感じる器官である味蕾にも関わりがあります。
- 銅
血液と深い関係を持っているのは鉄ということは知られていますが、銅も造血に関わっているのです。
赤血球中のヘモグロビンには鉄が含まれていて、その運搬に銅が必要となります。
鉄の不足でも貧血になりますが、銅が不足しても必要な場所に鉄が運ばれず血液をうまく作ることができないので貧血になります。
また、体の中のさまざまな酵素の構成成分であることから、エネルギーの生成や活性酸素の除去、神経伝達物質の産生にも働きます。
プチイン
あまり聞きならない成分ですが、白クワイにはプチインが含まれています。
白クワイは漢方薬として利用されることがあり、解熱作用、利尿作用、去痰作用、解毒作用、むくみ予防に役立ちます。
また、抗菌作用もあるのですが、難点は熱に弱いことです。
トリテルペン配糖体
クワイの持つ独特な苦み成分であるトリテルペン配糖体には抗酸化作用があり、ガンや生活習慣病の原因となる活性酸素の除去をします。
また、抗アレルギー作用があるのでさまざまなアレルギーの症状を緩和する働きもあります。
クワイの食べ過ぎは大丈夫?
たくさんの栄養がつまっているクワイですが、食べ過ぎても大丈夫なのでしょうか?
カロリーと糖質は?
クワイのカロリーは100gあたり126kcal、1個あたり25kcalで、糖質は100gあたり25g、1個あたり4.8gとなっています。
100gあたりのカロリーと糖質を見ると食べ過ぎは体重を増加させてしまうような気がしますが、1個あたりで考えてみると特別気にしなければならない数値でもありません。
調理の仕方によっては(特に素揚げなど)パクパクいくつも食べられます。
食べ過ぎてカロリーと糖質を摂り過ぎたということがないようにしましょう。
妊婦さんには注意が必要
クワイを漢方薬として見ると、寒性の食べ物と言えます。
寒性の食べ物であるクワイの食べ過ぎは体を冷やし、お腹の赤ちゃんが過ごしにくい環境となってしまいます。
また、消散する力が強いと言われているので、古典では妊娠中には食べてはいけないものとされていたようです。
芽は大丈夫なの?
縁起物ということで、調理した後にも芽が残っていることが気になりませんか?
ジャガイモの芽が毒で食べられないことに対し、クワイの芽は食べられるので体に毒ということはありません。
食べ過ぎたからと言って毒が体に影響するなどということではないので安心して食べることができます。
クワイの食べ過ぎに関するまとめ
クワイは栄養価の高く、さまざまな効果を得ることができます。
3~4㎝の塊根の中にはビタミンE、ビタミンB群、ミネラル、プチイン、トリテルペン配糖体などの成分が含まれています。
その効果は活性酸素の除去、血流改善、血液やエネルギーなど体を作る、胎児の成長、高血圧・むくみ予防、解熱、解毒、去痰などの多くを得ることができます。
カロリーと糖質共におせちなどに入っている煮物を普通に食べる程度では特別気にする数値ではありません。
しかし、当然のことながら食べ過ぎるとそれなりにカロリーも糖質も摂り過ぎることとなるので注意が必要です。
妊娠中のクワイの食べ過ぎも体を冷やす食べ物であることと消散する力が強いことから避けた方がよいでしょう。
いかがでしたか?
少しはクワイについて知っていただけたでしょうか。
冬の旬の時期にはスーパーに並ぶことも多いので是非食べてみて下さいね。
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