塩焼きに煮つけ、鯛めしや刺身といろいろな食べ方が楽しめる鯛。
どのように食べてもほどよく脂がのって締まった身は甘みと旨味があり、食べやすくおいしいですよね。
赤ちゃんの離乳食にも使われることもあって安心・安全に食べられると思っていたのですが、鯛を食べ過ぎると体調不良になることがあると言われています。
鯛のどの成分が体調不良にさせてどのような症状を招いてしまうのでしょう。
身近な魚なのでしっかり知っておきたいですよね。
今回は『鯛を食べ過ぎると体調不良になるの?栄養や効能について』をテーマに紹介していきます。
鯛を食べ過ぎるとどうなる?
一部の人を除いては鯛を食べ過ぎても体調不良を引き起こすことはあまり考えられません。
ですが、鯛を食べ過ぎることに注意の必要な人がいます。
それは「妊娠中のママ」です。
「鯛」と名前に入っている魚は200種類以上もありますが、その中の一部にはメチル水銀が含まれているものもあります。
メチル水銀とは水俣病の原因ともなった毒物で、有機水銀に属するメチル水銀は非常に毒性が強いとされます。
その毒性は中枢神経に障害を与えるとされ、妊娠中にメチル水銀が母体内に入ると胎盤から胎児へと移行してしまいます。
水銀への感受性が高いとされる胎児は母体から受けたメチル水銀を体外へ排出することができないため中枢神経系(脳)の発達に影響が出てしまうことがあるのです。
生後に関しても神経障害や発達の遅れなどが見られることがあるので、妊娠中の摂取には十分な注意が必要です。
海中におけるメチル水銀と食物連鎖
海水に含まれる無機水銀を海中のプランクトンが食べることで有機水銀に変わります。
プランクトンは小魚などのエサとなり、小魚は中型の魚、中型の魚は大型の魚やクジラなどの哺乳類に捕食されます。
この食物連鎖は徐々にメチル水銀の濃度を上げ、蓄積をします。(生物濃縮)
その結果、海中の上位捕食者である肉食動物のメチル水銀量が多くなるというわけです。
特に、キンメダイ、キダイ、アオダイ、アマダイなどにメチル水銀が含まれているので注意が必要となります。
厚生労働省からの妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項ではキンメダイ、キダイに注意が必要とされています。
生態系の食物連鎖で上位捕食者、長寿命の魚、同じ魚種でも大きいものに濃度の高いメチル水銀が含まれると考えられます。
鯛だけではない、メチル水銀に注意が必要な魚は?
魚に含まれるメチル水銀の量で摂取できる量が変わってきます。
厚生労働省は次の魚に注意が必要と呼びかけています。
①一週間の摂取合計が160gまでの魚…キダイ、クロムツ、ユメカサゴ、ミナミマグロ、ヨシキリザメ(筋肉)、イシイルカ
②一週間の摂取合計が80gまでの魚…キンメダイ、メカジキ、クロマグロ、メバチ(メバチマグロ)、エッチュウバイガイ、ツチクジラ、マッコウクジラ
①は②に比べるとメチル水銀の量が少ないので一週間の合計が160gまでと②より多く摂取することができます。
反対に②は①に比べるとメチル水銀の量が多いので一週間の合計が80gまでとなります。
刺身一切れは15gと考え、一人前の刺身、切り身を80gと考えます。
食べ方の例(メチル水銀の量は②が①の2倍なので①一人前80g=②半人前40gとなる)
・①を一人前80gずつ週に2回食べる
・②を半人前40gずつ週に2回食べる
・①を一人前80g1回、②を半人前40g1回食べる
など、食べ方の組み合わせは何通りかあります。
特にメチル水銀の注意が必要のない魚、キハダ、ビンナガ、メジマグロ、ツナ缶、サケ、アジ、サバ、イワシ、サンマ、タイ(真鯛)、ブリ、カツオなど妊娠中にも安心して食べられる魚もあります。
鯛の栄養は何に効果的?
メチル水銀については述べてきましたが鯛にも栄養はあり、私達の体にいろいろな効果をもたらしてくれます。
鯛に含まれるタンパク質は良質な動物性タンパク質です。
私達の体の血液や筋肉、臓器などを作る主要成分で、消化酵素の材料にもなる栄養です。
また、免疫抗体や神経伝達物質の材料ともなるので体に欠かせない栄養素で毎日の食事からしっかりと摂取することが大切となります。
鯛にはビタミンAが含まれています。
ビタミンAは視覚の暗順応や視力維持など目の健康維持のために役立ちます。
また、肌の健康を維持する働きと抗酸化作用もあることからアンチエイジングも期待できる栄養です。
鯛には抗酸化作用を持つビタミンEも豊富に含まれているので更に効果が期待できるでしょう。
鯛はビタミンD、マグネシウム、リンが豊富に含まれています。
骨を形成する栄養と言えばカルシウムですが、ビタミンDのカルシウムやリンの吸収を促す作用があり、血液中のカルシウムを保ち骨の健康を維持する働きがあります。
マグネシウムの50~60%は骨に含まれていて、カルシウムやリンとともに骨を作っています。
マグネシウムは不足すると骨から遊離して不足部を補うという働きも持ちます。
また、興奮を抑えたり血圧の維持をしたりと重要な働きにも関わっています。
リンの85%はカルシウムやマグネシウムと骨を作るために働いています。
他の作用としてエネルギーを作り出すという大切な役割があります。
聞きなれない栄養ですが、鯛にはセレンも豊富に含まれています。
セレンには強い抗酸化作用があり、肌や細胞の老化の原因となる活性酸素を除去する働きがあります。
抗酸化に働くビタミンCの再生を促す酵素の成分となり、ビタミンEの吸収を促すなどの抗酸化作用を補助する働きもあります。
また、甲状腺ホルモンの活発化と代謝を行う酵素の成分でもあり、甲状腺ホルモンを正常に保つことに役立ちます。
鯛の食べ過ぎに関するまとめ
妊娠中のママが鯛を食べ過ぎることには注意が必要です
鯛の中でもキンメダイ、キダイ、アオダイ、アマダイなどはメチル水銀を含んでいて、妊娠中に食べることで胎児に移行してしまいます。
胎児は体に入ってしまったメチル水銀を排出することができないので中枢神経系に影響が出てしまう他、生まれてからも発達に遅れが生じる可能性もあります。
栄養に関しては良質なタンパク質、ビタミンA、ビタミンD、マグネシウム、リン、セレンなどが含まれ、体を作るために大切な栄養、抗酸化作用、歯や骨の健康維持、基礎代謝を高める(甲状腺ホルモンの働き)など多くの効果を得ることができます。
メチル水銀を含んでいるので摂取量には注意が必要となりますが、骨を作る成分はママにも赤ちゃんにも必要な栄養になります。
危険だからと避けるのではなく、バランス良く食事を摂るように心がけましょう。
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