春に旬を迎えるたけのこ、店頭に並ぶとメニューは何にしようと悩んでしまいませんか?
たけのこご飯、煮物、たけのこ田楽といろいろで、シャキシャキする歯ごたえが更に料理をおいしくしてくれます。
水煮は年中食べられますが、あの皮付きのたけのこは春にしか食べられません。
1本買うといろいろ料理できますし、「この季節しか食べられない」と考えるとつい食べ過ぎてしまいますよね。
ですが、食べ過ぎると体調を悪くしてしまうことをご存知でしたか?
食べるからにはどのような症状が起きるのか知っておいた方がいいですよね。
今回は『たけのこの食べ過ぎで起きる症状』について紹介します。
たけのこの食べ過ぎはどのような影響が?
たけのこを食べて体調が悪くなるとはあまり聞いたことがないので信じ難いですが、実際にどのような症状が起きるのかを見ていきましょう。
不溶性食物繊維がお腹に影響を
たけのこには不溶性食物繊維が多く含まれています。
食物繊維と聞くと便秘解消、整腸作用などの効果があると一般的には考えられています。
不溶性食物繊維は水分で膨らみ、腸壁を刺激しながら腸の動きを活発にしていきます。
ですが、食べ過ぎることで便が硬くなってしまい、便通を良くするどころか便秘になってしまいます。
こうして長くとどまることとなった便が発酵し、悪玉菌のエサになることで腸の中に有毒なガスが発生してしまいます。
ガスは便秘で排泄できないことから汗や血液から体外へ排出しようと働き、体臭をきつくしたり、ニキビや肌荒れを引き起こしたりなどの一見関係のないところにまで影響を与えてしまうのです。
それだけではなく、不溶性食物繊維が下痢を引き起こす原因にもなっています。
先程、腸の動きを活発にすると述べましたが、この作用が働きすぎてしまうことで腸の中に便を長くとどめておくことが難しくなります。
腸の中で水分を吸収する時間が長く取れないと、水を多く含んだ便が排泄されてしまいます。
また、せっかく摂ったビタミンやミネラルなどの栄養も下痢をしていることでうまく吸収されず、出ていってしまうこともあるのです。
灰汁の成分、シュウ酸が結石の原因に
シュウ酸はホウレンソウに含まれていることは多く知られていますが、実はたけのこにも含まれています。
シュウ酸は灰汁抜きをしっかりすることで除去につながります。
シュウ酸は腸の中でカルシウムと結びつくと便と一緒に体外へ排出されるものなのですが、食べ過ぎなどの多量摂取で尿から出てきてしまいます。
尿中でカルシウムと結びついたシュウ酸は石のようになり、腎障害を引き起こしたり、尿管をつまらせたりしてしまうのです。
尿路結石は激痛がともなうこともあるので、しっかり灰汁を抜いてから食べるようにしましょう。
たけのこを食べ過ぎてアレルギー?
たけのこを食べてアレルギーとはあまり耳にしないことですよね。
実際に厚労省の定めるアレルギー物質を含む食品に関する「特定原材料」「特定原材料に準ずるもの」にはたけのこは含まれていません。
ですが、たけのこを食べると皮膚が赤くなったり、喉のイガイガを感じたりするアレルギーのような症状が起きることがあるのです。
その症状の原因は?
たけのこに含まれる「アセチルコリン」が原因で引き起こされている可能性があります。
(アセチルコリンとは神経伝達物質で運動機能に必要な筋肉を収縮させる作用があります。
また、脳の記憶部分と認知部分にも作用するため、アセチルコリンの増減がアルツハイマー型認知症に関係があると言われています。)
この成分がアレルギーに似た様々な症状を引き起こしているのです。
アセチルコリンは仮性アレルゲンと呼ばれています。
仮性アレルゲンとは?
アレルゲンではない食べ物を口にしたときに、食物アレルギーと同じ様な症状を引き起こす成分を指します。
一般的な食物アレルギーの原因物質と言われている化学伝達物質「ヒスタミン」、「ロイコトリエン」などですが、食べ物の中にはこれらの物質と似た構造を持つ物質を含む食べ物もあり、それらを食べることでアレルギーと同じ様な症状が引き起こされます。
これが「仮性アレルゲン」と呼ばれているのです。
たけのこと同じアセチルコリンを含む食べ物としてトマト、ナス、ヤマイモ、サトイモなどがあげられます。
アセチルコリン以外の仮性アレルゲン
セロトニン:トマト、キウイ、バナナ、パイナップル、メロン など
ヒスタミン:サバ、マグロ、カツオ、ナス、トマト、ホウレンソウ など
サリチル酸化合物:トマト、キュウリ、ジャガイモ、イチゴ、メロン など
トリメチルアミンオキサイド:タラ、タコ、イカ、エビ、カニ など
これらの食べ物を食べても食物アレルギーの様な症状が引き起こされることがあるので注意が必要です。
仮性アレルゲンの症状は?
アセチルコリンの作用として自律神経失調、血管の拡張、気管支喘息などがあげられます。
人によって症状が異なるため絶対というわけではありませんが仮性アレルゲンは次のような症状が引き起こされます。
皮膚…痒み、発赤、蕁麻疹、湿疹 など
呼吸器…喘鳴(気管支がゼェゼェと鳴ること)、咳 など
粘膜…喉の腫れ・痒み・痛み・イガイガなどの口内の違和感、鼻づまり など
消化器…腹痛、吐き気、嘔吐、下痢 など
これらの症状は食物アレルギーとは異なるのでたけのこを食べたからといって毎回確実に症状が出るわけではないのです。
症状の多くは一過性のもので症状は比較的軽く、一時間以内に治まると言われています。
仮性アレルゲンを摂り過ぎると全身性の蕁麻疹や頭痛、呼吸困難などの重篤な症状、アレルギーに起きるアナフィラキシーショックに似た症状も引き起こされることが稀にあるので、すぐ治まるからと油断は決してしないでください。
仮性アレルゲンについて気を付けることを紹介しておきます。
仮性アレルゲンについて気をつけること
- 仮性アレルゲンを含む食べ物を一度に大量に食べる、毎日続けて食べることは控えましょう。
- アレルゲンを減少させることができる灰汁ぬきを十分にし、その後加熱調理をして食べましょう。
- 体調が悪い時は控えるようにしましょう。(特に下痢の時は症状が出やすいと言われています。)
- 既に他のアレルギー症状が出ている場合は食べるのを控えましょう。
たけのこの食べ過ぎに関するまとめ
たけのこを食べ過ぎると含まれる不溶性食物繊維、シュウ酸が私達の体に不調をもたらすことがわかりました。
不溶性食物繊維:便秘、ガス溜まり、下痢、体臭、肌荒れ、栄養吸収の阻害
シュウ酸:腎障害、尿路結石
また、たけのこに含まれる仮性アレルゲン「アセチルコリン」が食物アレルギーと同じ様な症状を引き起こすことがわかりました。
症状は人によって異なりますが、皮膚の痒み、喘鳴、口内の違和感、腹痛 などの様々な症状が比較的短時間起こります。
アナフィラキシーショックと似た症状が起きることがあるので十分な注意が必要です。
これらの不調は灰汁抜き、加熱調理することが症状の軽減に有効とされているので、食べる時には必ず行うようにしてくださいね。(必ず防げるというものではありません。)
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