わらびの食べ過ぎは下痢や腹痛になりやすいの?ガンになりやすいってホント?





春を思わせる「わらび」、代表的な食べ方はお浸し、天ぷら、山菜ごはんや蕎麦の具材などがあげられ、わらびの根元のデンプンはわらび餅の材料となっています。

他にもいろいろな形で食べられますが、ほどよい歯ごたえと舌触りは食べ過ぎをまねくことに・・。

しかし、わらびの食べ過ぎは下痢や腹痛、更にガンの心配があると言われているのです。

見かけることはあっても意外と知られていないわらびの実情、食べて体調を崩すことだけは避けたいところですよね。

今回は『わらびの食べ過ぎは下痢や腹痛になりやすいの?ガンになりやすいってホント?』をテーマに紹介します。

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わらびの食べ過ぎは下痢や腹痛になる?

わらびは食べる時に十分な灰汁抜きをしないと下痢や腹痛など体にさまざまな影響を引き起こしてしまいます。

チアミナーゼが原因物質

わらびにはチアミナーゼ(=アノイリナーゼ 以前の呼び名)という成分が含まれていて、馬などの家畜に見られるわらび中毒の原因物質です。

わらびを食べる時に十分な灰汁抜きをしないと、私達人間もチアミナーゼが原因でわらび中毒を起こす恐れがあります。

人間におけるわらび中毒はチアミナーゼがビタミンB1を分解する酵素であり、食事などで摂取したビタミンB1を破壊する性質を持つことから、糖質がエネルギーに変換されづらくなり、疲れやすい、だるい、神経痛などの症状が現れることです。

 

ビタミンB1が破壊されると?

わらびを食べ過ぎることは同時にチアミナーゼも多く摂取することになってしまいます。

チアミナーゼを摂り過ぎるとビタミンB1が破壊され不足し、ビタミンB1欠乏症の可能性が生じます。

ビタミンB1欠乏症の症状は先程も述べた、だるい、神経痛などに加え、今回のテーマにもなっている、下痢、腹痛、消化不良、食欲不振などの消化器症状と、下記のような症状も現れます。

・脚気(心不全、末梢神経障害など)

・ウェルニッケ脳症(意識障害、運動障害、精神障害など)

・うつ、気分障害などの精神症状

・筋力低下、めまい、記憶障害などの神経症状

・筋痛、筋委縮などの運動器症状

 

わらびの食べ過ぎはガンのリスクもある?

わらびを食べる時の十分な灰汁抜きはチアミナーゼの除去だけに限ったことではありません。

実はわらびにはプタキロサイドという成分が含まれていて、この成分こそが発ガン性物質なのです。

プタキロサイドは国際がん研究機関(IARC)の発ガン性リスク一覧のグループ3に分類されています。

グループについての補足

発ガン性リスク一覧【グループ1:ヒトに対する発ガン性が認められる】、【グループ2:ヒトに対する発ガン性があると考えられる】、【グループ3:ヒトに対する発ガン性が分類できない】、【グループ4:ヒトに対する発ガン性がおそらくない】とされています。

プタキロサイドの属する【グループ3:ヒトに対する発ガン性が分類できない】の解釈ですが、一般的にヒトに対して発がん性の不十分な証拠、動物に対して不十分な又は限定的な証拠とあります。

ガンが発生する可能性を完全に否定はできないため、発ガン性物質とされているのですね。

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わらびの灰汁抜き方法

わらびを食べる時には重要となる十分な灰汁抜きは下痢や腹痛の原因となるチアミナーゼ、発ガン性物質であるプタキロサイドの除去に有効となります。

灰汁抜きの方法として木灰や藁灰を使う方法もありますが、灰とは縁遠い人も多いと考えられるので身近な重曹や小麦粉を使う灰汁抜きを紹介します。

 

重曹を使う灰汁抜き

用意するもの:わらび ・わらびの倍の量の水(今回はわらび500g、水1ℓとします) ・重曹 小さじ1~2杯(水の量の1%以下までにする、入れ過ぎは注意) ・わらびが十分に浸る大き目の鍋 ・落とし蓋

① わらびの穂先と根元の硬い部分を取り除き、水洗い

② 鍋にお湯を沸かす

③ 沸騰した時点で重曹を入れる(入れ過ぎ注意:わらびが溶ける恐れ、柔らかくなりすぎる恐れがある)

④ 熱湯を冷ます(粗熱を取る:わらびが溶ける恐れ、柔らかくなりすぎる恐れがある)

⑤ わらびが全てお湯に浸るように入れ、わらびが浮かないように落とし蓋をする

⑥ そのまま一晩置く

⑦ 鍋から取り出し、流水洗浄をする

 

小麦粉を使う灰汁抜き

用意するもの:わらび 200g ・水 1ℓ ・小麦粉 大さじ4 ・塩 小さじ2 ・わらびが浸る鍋

① 鍋に水、小麦粉、塩を全て投入し、泡だて器でよく混ぜる(火にかける前に混ぜておく)

② ①を中火で沸騰させる

③ わらびを投入し、再沸騰してから弱火で5分ほど火を通す

④ 鍋から取り出し、流水洗浄をする

⑤ ボールなどに戻し、1時間ほど水にさらす

 

灰汁が抜けた目安

チアミナーゼとプタキロサイドの脅威もあるので灰汁が抜けたか抜けていないかの判断が重要です。

判断の材料になるのがわらびを切った時の切り口です。

切り口に「粘り」や「ぬめり」が確認できれば灰汁抜きは成功したと言えるでしょう。

また、独特の食感、イメージとして「ザクッ」このような食感が得られたわらびもおいしく食べられるでしょう。

収穫して日にちの経っているわらびは日に日に灰汁が増してしまいます。

収穫したら早めの灰汁抜きをすることでおいしく食べることができます。

灰汁抜きをしてもえぐみや苦みが残ってしまった場合には油を使って調理する天ぷらやごま油炒め、塩漬けや醤油漬けなど漬物にして食べると苦みを気にせず食べることができます。

 

わらびの食べ過ぎに関するまとめ

わらびには下痢や腹痛、ガンが心配されていましたが、これは事実でした。

下痢や腹痛などの消化器症状の原因となる成分「チアミナーゼ」、この成分はビタミンB1を破壊し、様々な症状をもたらします。

脚気、ウェルニッケ脳症、精神症状、神経症状、運動器症状、わらびを食べて起きるこれらの症状はチアミナーゼによって引き起こされるものです。

また、発ガン性物質の「プタキロサイド」、ヒトのガンの証拠としては不十分ではありますが、可能性のある成分とされています。

これらの脅威はわらびを食べる時に十分な灰汁抜きをすることで除去することができます。

適切な下処理がしてあれば安全に食べられるので、食べ過ぎには注意が必要となりますが春には是非食べてみてくださいね。

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