ズッキーニが日本に伝わったのは1980年頃、日本での歴史は浅いですがスーパーなどで見かける機会も増えてきました。
ズッキーニは生で食べると少し苦みがあり、加熱するとナスの食感に近づき、強い癖はなく、揚げる、焼く、煮る、様々な調理方法で食べられます。
代表的なラタトゥイユは南フランス地方の家庭料理、夏野菜をニンニクの効いたトマトソースで煮込んだもので、冷製にしてもおいしいです。
しかし、ズッキーニの食べ過ぎは危険でアレルギーや食中毒の心配があると言われています。
食べたことがある人もこれから食べる人も安全に食べるためにもその真相を確かめておきましょう。
今回は『ズッキーニの食べ過ぎは危険?アレルギーや食中毒を引き起こす?』について紹介していきます。
ズッキーニの食べ過ぎはアレルギーを引き起こす?
ズッキーニを食べてアレルギー症状を引き起こす人はいます。
この場合、食べ過ぎて症状が現れるわけではなく、ある花粉に対してのアレルギー「花粉症」を患っている人に症状が現れます。
原因は花粉だった!
ズッキーニを食べてアレルギー症状を引き起こす人はキク科ブタクサにアレルギーを持っている花粉症の人が多いと言われています。
キク科ブタクサの花粉症の人はズッキーニ以外にもウリ科の食物、メロン、スイカ、キュウリなど、バショウ科の食物、バナナなどを食べる時も同じく注意が必要となります。
上記の特定食物などを食べてアレルギー症状が出る人は「口腔アレルギー症候群」、またの名を「花粉-食物アレルギー症候群」と呼ばれます。
花粉症とズッキーニ、あまり関係がないかと思われますが、実は目には見えない部分が類似していることでアレルギー症状が引き起こされているのです。
キク科ブタクサの花粉とズッキーニのアレルゲンの構造はよく似ていて、ズッキーニが体内に入ることでブタクサの花粉が侵入したと勘違いが起きてしまいます。
ブタクサ花粉症の人はアレルゲンが体内に入ると鼻粘膜を中心にブタクサ花粉に対してのIgE抗体が作られ、再びそこにアレルゲンが体内に入ると花粉症を発症します。
IgE抗体は免疫グロブリンというタンパク質の一種でアレルゲンを攻撃しようとマスト細胞の表面に結合してアレルゲンの侵入を待っている物質です。
ブタクサ花粉症の人がズッキーニを食べると先程説明したIgE抗体が口内でズッキーニのアレルゲンと反応し、アレルギー症状が引き起こされます。
口腔アレルギー症候群の症状は?
口腔アレルギー症候群の症状の多くは唇の腫れや痒み、口の中や喉の奥の痒み、腫れ、イガイガなどの刺激、痺れ、浮腫みなど口の中や周りに症状が出ます。
多くの人の症状というわけではありませんが、まれに鼻水、目の充血、蕁麻疹、腹痛、下痢、喘息、呼吸困難などの症状が現れます。
またアナフィラキシーショック(短時間に全身性、皮膚、粘膜、呼吸器、消化器、循環器などの症状がいくつか同時に引き起こされ、急激な血圧低下、昏睡などショック状態に陥ること)が引き起こされることもあるので注意が必要です。
多くの人が口の中、口の周りに症状が出る理由はズッキーニのアレルゲンが消化器で容易に分解され小腸に到達する前に壊れてしまうことにあり、口の中や口の周りの直接ズッキーニに触れた部分だけに症状が現れてしまいます。(口腔アレルギーではない食物アレルギーの場合、アレルゲンは腸まで届き、腸で吸収されるので症状が全身に見られることが多い。)
予防方法はある?
症状を引き起こさないためには原因となるズッキーニを食べないことが基本です。
すぐ治まるからと食べていては症状が悪化する可能性があるので自己判断で食べるということはおすすめできません。
口腔アレルギー症候群のアレルゲンは熱に弱いので加熱すれば食べられるという人もいます。
ただ、自己判断は症状の悪化を招くことがあるので、医師の指示のもと行うようにしましょう。
ズッキーニの食べ過ぎは食中毒を起こす?
食中毒と言えば梅雨の時期から夏の暑い時期の食品に気を付けなければならないことで有名で、「ズッキーニの食べ過ぎで食中毒を起こす」とはなかなか結びつかないことですが、なぜそのように言われているのでしょう。
原因は有害物質である「ククルビタシン」
ククルビタシンはズッキーニに含まれる有害物質で食中毒の原因となります。
ズッキーニにだけククルビタシンが含まれているわけではなく、キュウリ、カボチャ、ヘチマ、夕顔、冬瓜、メロン、スイカなどのウリ科の植物にも注意が必要です。
ヘタに近い部分に含まれていて、その含有量が多いと強い苦み、渋みを感じます。
通常は含有量が少なく、食べても毒性はなく他に問題も起きません。
見た目は他のズッキーニと変わりがないので判断がしづらいのですが、ククルビタシンが多く含まれているにもかかわらず食べてしまうと食中毒の症状が現れてしまいます。
食中毒の症状は?
唇や口の中の痺れ、腹痛・嘔吐・下痢の症状は重い、手足の痺れなどの症状があげられます。
早い人は数分で症状が出始め、遅い人は数時間後に症状が現れます。
実際に症例があります。
【2014年7月上旬、岡山県で20~60代の男女14人がズッキーニを食べて腹痛や下痢の食中毒の症状が現れ、命に別状はなかったが数人が医療機関を受診した】
食中毒を起こさないために
食中毒の症状が現れる前に自分で対策をとることができます。
上記、症例の食中毒を起こした人の全員が一口食べたところで強い苦みを感じています。
先程も述べたようにククルビタシンの含有量が多いズッキーニは強い苦みと渋みを感じます。
その苦みは噛む、飲み込むことができないほどの苦みだと言われています。
大切なことは「一口食べて強い苦みや渋みを感じたら飲み込まずに吐き出すこと」です。
野菜って苦いものもあるから大丈夫、せっかく目の前に料理があるのにもったいない、などと思ってしまいがちですが、我慢して飲み込んだ結果があなたを苦しめることになります。
ククルビタシンは加熱調理をしてもその有毒性を失うことはありません。
強い苦み、渋みを感じたら食べない、覚えておきましょう。
ズッキーニの食べ過ぎに関するまとめ
アレルギーに関しては食べ過ぎて発症するということではなく、キク科のブタクサにアレルギー(花粉症)がある人がズッキーニを食べた時に症状が現れやすいと考えられています。
原因はブタクサとズッキーニのアレルゲンの構造が似ているということにあります。
症状は口の中や口の周りに現れることが多く、口腔アレルギー症候群(花粉-食物アレルギー症候群)と呼ばれていますが、まれに鼻水や蕁麻疹などの口腔ではないところ、アナフィラキシーショックも引き起こされることがあるので十分な注意が必要です。
食中毒はズッキーニの食べ過ぎ、厳密にはククルビタシンを多く含むズッキーニを食べることで中毒症状の痺れ、腹痛、嘔吐、下痢などが現れます。
ククルビタシンを多く含むズッキーニは強い苦みと渋みがあり、それを感じた時点で吐き出す、我慢して飲み込まないなど対策を取れば症状を軽減、または防ぐことができます。
アレルギーの人には除去をおすすめしますが、食中毒に注意ができればズッキーニはおいしく食べられる野菜です。
いろいろな食べ方があります、まだ食べたことがない人も是非食べてみて下さいね。
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