アロエは昔から様々な症状に用いられていて、火傷をした時の治療薬や化粧水など民間療法の代表的な植物です。
食べても体に良いとされるアロエはヨーグルトがメジャーな食べ方ですが、意外に刺身やサラダ、天ぷらなどに調理されてもおいしく食べられます。
独特な歯ごたえは食べる人を夢中にさせてしまい、食べ過ぎてしまうことも・・。
しかし、食べ過ぎには副作用が現れると言われているので注意が必要です。
昔から「医者いらず」と呼ばれているアロエの栄養や期待できる効能も含めて紹介していきます。
今回のテーマは『アロエの食べ過ぎによる副作用とは?栄養や効能は?』です。
初めにアロエについて
日本で見られるアロエは主に「アロエベラ」、「キダチアロエ」で、この二種類が一般的にアロエとして出回っています。
アロエベラは一般的によく食べられているアロエで、日本ではアロエヨーグルトが人気で商品化もされています。
歯ごたえが良く、苦みも少ないことから食用に向いていますが、生薬として用いられることもあります。
薬効は様々な研究が進められていますが、例として火傷や生活習慣病の一部を改善することに役立っていいます。
キダチアロエは苦みがあり、薬用や観賞用として用いられてきましたが食用としても食べられることもあります。
主に皮の部分に強い苦み成分が多く含まれているので、皮を取り除けば苦みの軽減につながりますが、厚めに皮の処理をしなければ苦みが残る可能性があるので注意が必要です。
効果として健胃作用や瀉下作用(下剤の様な働き、便秘改善)があります。
傷や火傷などの外用として使われることもありますが、悪化の例もあるので注意が必要となります。
アロエの食べ過ぎによる副作用は?
体に良い作用もあるアロエですが、食べ過ぎは副作用が出てしまいます。
アロエに含まれる成分で腹痛や下痢に
アロエにはアロイン(バルバロインから抽出)、アロエエモジン、ホモナタロイン、アロエニン、アロエソンなどの便秘に効果のあると言われている成分が含まれています。
これらの成分には共通して健胃作用、緩下作用や瀉下作用の作用があり、ホモナタロインにはメラニン生成を抑制する働きも確認されています。
(アロインとアロエエモジンは医薬品の指定であるため、キダチアロエ以外にこの成分は使用されておらず、アロエヨーグルトなどのアロエベラを使った食品には使用されていません。)
便秘や消化不良などに効果のある成分ではありますが、過剰摂取は腹痛、軟便や下痢を引き起こします。
また、体質によっては胃炎などの炎症を起こすこともあるので注意が必要です。
アロエの適量としてアロエベラ 60g、キダチアロエ 15g程度までに抑えて食べるようにしましょう。
長期摂取で大腸が色素沈着を起こす!?
肌が色素沈着を起こすことは目にすることですが、大腸が色素沈着を起こすとはあまりイメージがわかないですよね。
しかし、アロエなどの大腸刺激性下剤(アントラキノン系)を長期摂取することで本当に大腸が色素沈着を起こしてしまうのです。
この症状はアロエだけに見られるわけではなく、センナや大黄の長期摂取でも現れる症状で、「大腸メラノーシス」という症状の名前がついています。
大腸メラノーシスは本来ピンクや肌色をしている大腸の色が大腸刺激性下剤の長期摂取で、粘膜の色が黒っぽくなってしまうことで、大腸メラノーシス自体は痛みや不快感などの自覚症状はなく、病気ではありません。
しかし、大腸が変色した部分は神経の機能が悪化(大腸の動きが悪くなる)し、効いていた薬が徐々に効かなくなるなど便秘の悪循環を招いてしまいます。
症状の改善には大腸刺激性下剤を中止することで、半年から一年ほどでもとに戻ると言われています。
便秘薬はアントラキノン系のものだけではないので、医師の指示のもと薬を処方してもらい、食生活の改善も心がけましょう。
食べ過ぎは体が冷えてしまうことも
アロエの生食は陰性(体を冷やす)の食べ物に分類されます。
適量であれば体を冷やすことはありませんが、摂り過ぎると体が冷えてしまいます。
体が冷えると様々な症状が現れるので、「たかが冷え」などと侮らずに注意することが大切です。
冷えは血流を悪くし、体に大切な酸素や栄養素がうまく全身に運ばれなくなるだけではなく、老廃物の排出も正常におこなわれません。
体が冷えると胃腸などの内臓まで冷えることとなり、消化不良を起こす可能性も十分に出てきます。
また、腸の働きが悪くなることで免疫力まで下げてしまうことになるので、アロエを食べる時に加熱する、陽性の食べ物を一緒に食べるなどの冷え対策が必要となります。(加熱することで陰性ではなくなります。)
食べ過ぎ以外で気を付けることは?
食べ過ぎや長期摂取が体に影響があることがわかりましたが、他に気を付けることがあるので紹介していきます。
妊婦さんは注意!
アロエが健康に良いからと妊娠前と同じようにアロエの成分を含むサプリメントなどに簡単に手を出してはいけません。
アロエにはアロインやアロエエモジンが含まれていて、これらの成分は通経薬や堕胎薬として使われることもありました。
子宮収縮を促進する作用があり、月経過多や早産・流産を起こすので妊婦さんには禁忌となっています。
更にお腹の中の赤ちゃんにこれらの成分が運ばれてしまうと赤ちゃんの腸の動きが活発化し、胎便がお腹の中で排泄されてしまうこともあります。
お腹の中には羊水で満たされていて、そこで赤ちゃんはママに会えるのを待っています。
お腹の中では羊水を飲んでは吐き出しを繰り返し、呼吸の練習をしています。
胎便の排泄で羊水混濁の状態で呼吸の練習をしてしまうと、赤ちゃんは胎便吸引症候群と呼ばれる陥没呼吸やチアノーゼなどの呼吸障害や皮膚やへその緒の着色などの症状が現れることがあります。
アロエヨーグルトも食べられない?こんな疑問も生じるでしょうが、市販のアロエヨーグルトに含まれているアロエは薬効成分が含まれている外皮部分を除いて混ぜられているので問題はないとされています。
先程も述べましたが、アロイン、アロエエモジンは医薬品であるため食品として販売されているものには使用されていません。
サプリメントなどには注意が必要となりますが、食品は安全に食べられるようになっています。
シュウ酸カルシウムで口の中が荒れる
アロエにはシュウ酸カルシウムも含まれています。
シュウ酸カルシウムの結晶の形は針状で、肌や口に触れた時には結晶が刺さることになり、様々な症状が現れます。
肌に触れた時には痒みやかぶれ、食べた時には口のまわりや口の中にチクチクとした痺れや痛み、喉の痒みなどの症状が現れます。
被害の程度は種類によってことなり、症状がおだやかなアロエやサトイモ、深刻な症状が出るテンナンショウは有毒の扱いになり、呼吸困難に陥ることもあります。
アロエから大量のシュウ酸カルシウムを摂取することの方が難しいとは思いますが、シュウ酸カルシウムの過剰摂取は消化器障害、呼吸困難、昏睡状態や死亡などの重い症状が現れることがあるので、シュウ酸カルシウムの含まれているものには十分な注意が必要となります。
アロエに含まれる栄養や効能は?
昔から医者いらずと呼ばれているアロエにはどれほどの栄養が含まれているのでしょうか。
アロエ特有の栄養が多く含まれているので、注目して見ていきましょう。
アロエに含まれるアロイン、アロエシン、アロエチン、アロエエモジンには殺菌・抗菌作用、抗炎症作用があるので炎症を起こした日焼け肌、火傷の炎症を抑え、傷の修復に役立ち、ムコ多糖類には免疫効果もあるので肌の修復に作用します。
アロエチンの殺菌作用は優れていて解毒作用も併せ持っていて、化膿止めとしても働く他、色素沈着も予防するとされています。
アロエエモジンには鎮痛作用もあるので炎症による痛みを抑えてくれます。
また、アロエにはサリチル酸という成分も含まれていて、傷口への血液量を増やす働きがあり、皮膚の再生に役立ちます。
アロエに含まれるアロエシンは皮膚のメラニン生成を引き起こすチロシナーゼを阻害する働きがあり、メラニンによる色素沈着も予防するとされています。
アロエにはメラニン生成を抑制する成分が他にも含まれていて、アミノ酸・有機酸類やミネラルが役立っています。
アミノ酸には肌の水分量を保つ保湿効果があり、肌のきめを整える働きもあります。
ミネラルは私達の体の構成成分や生理作用に欠かせない成分で肌や髪を美しく保ち、メラノサイト(メラニン色素の生成に関わる)や女性ホルモンの正常化に作用します。
また、先程も述べていますがアロエに含まれるホモナタロインには美白効果に役立ち、メラニンの生成を抑制する働きがあります。
アロエには殺菌作用、抗菌作用、抗炎症作用があるとは述べましたが、この作用が赤ニキビを抑え、ニキビ跡を作らないようにするのにも一役買い、殺菌作用はニキビを予防するのにも役立ちます。
ムコ多糖を含むアロエはアトピーや乾燥による痒みと炎症にも効果的で、保水力が優れている、保護作用があることから肌を健康な状態に近づける働きがあります。
アロエにはアロエウルシン(キダチアロエに含有、アロエベラには含まれない)、アロミチンが含まれていて、組織や細胞の再形成があることからこれらの成分は胃潰瘍などを防ぐ抗潰瘍作用があります。
アロミチンには抗腫瘍作用もあり、免疫力を上げるだけではなく、抗癌粘膜の弾力化、癌細胞の抑制に期待ができます。
抗腫瘍作用はアロエに含まれるアロエマンナンも効果が期待できると言われています。
アロエに含まれるアロエチンの持つ解毒作用は飲み過ぎて負担のかかった肝臓の働きを活発化し、アルコールの分解に働くことで二日酔い、悪酔いの症状の軽減に役立ちます。
また、アロエのもつ健胃作用から飲み過ぎで胃にかかった負担を軽減することができます。
アロエにはアミノ酸やミネラルも含まれているので肝臓を助け、代謝の回復にも役立つでしょう。
※アロエを傷や肌に使うときの注意
雑菌が肌に炎症を与えてしまうこともあるので、煮沸してから使うようにしてください。
シュウ酸カルシウムの刺激もあるのでパッチテストを行って異常がないことを確認してから使うことをおすすめします。
アロエの食べ過ぎに関するまとめ
アロエは食べ過ぎると腹痛、下痢、大腸メラノーシス、体を冷やすなどの症状が現れることがわかりました。
また、食べ過ぎ以外には妊婦さんの摂取には流産や早産の可能性があるので注意が必要となり、シュウ酸カルシウムの刺激は痒みや痛みをともなうことがあるのでこちらも注意が必要です。
しかし、食べ過ぎなければとても多くの効能を期待することができます。
食べた場合には健胃作用、便秘解消、抗潰瘍作用、抗癌作用、解毒作用など、肌には美白・美肌効果、アトピー・乾燥肌・ニキビの改善などに期待ができ、「医者いらず」と呼ばれていることに納得ができました。
これだけの効能が期待できるのであれば、是非日常的に取り入れてみたいですね。
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