「バターナッツかぼちゃ」、聞きなれないものですね。
バターナッツかぼちゃはニホンカボチャの一種で黄褐色の皮と果肉を持ち、名前の通りバターのような滑らかさとナッツのような甘さを持つかぼちゃです。
身近なものではないので食べ過ぎるとどのようなことが体に起こるのかも知られてはいません。
噂では皮膚炎やアレルギーが引き起こされるとかささやかれていますが、実際にはどうなのでしょうか?
今回は『バターナッツかぼちゃの食べ過ぎで皮膚炎やアレルギーになるってほんと?』をテーマに紹介します。
食べ過ぎは皮膚炎やアレルギーになる?
かぼちゃで皮膚炎やアレルギーが起こるとは思いもしないことですが、実は皮膚炎もアレルギーも起きることがあります。
皮膚炎に関しては食べて起きるということではありません。
バターナッツかぼちゃを調理する時に素手で触れるとかぼちゃの汁で皮膚炎が起きる人がいます。
これはククルビタ・モスカータ皮膚炎と呼ばれ、その症状はかぼちゃの汁に触れて間もなく触れた箇所が乾燥し、皮膚がポロポロと剥がれ落ちます。
激しく乾燥することが特徴で、普段経験する手荒れとは異なり水に濡れただけで即時に乾燥し、皮膚も薄くなるので手の表面が突っ張り、関節部分が曲げづらくなります。
バターナッツかぼちゃを食べてアレルギーが引き起こされるという報告があまりありません。
しかし、遅延型フードアレルギーを調べるに当たって行うアレルギー検査の項目にはバターナッツかぼちゃが含まれているので、何らかのアレルギー症状が現れる人もいると考えてよいでしょう。
遅延型フードアレルギーとは原因である食べ物を食べてから数時間から数日後に発症するものです。
ヒスタミンの放出がないアレルギーなので症状も様々、片頭痛、眩暈、疲労感、ニキビ、肥満、うつなどのアレルギーと聞いて思い浮かばないような症状も現れることがあるので、食べ物が原因だと特定することが難しく、原因不明の体調不良だと思われることも多いようです。
アレルギー症状を引き起こすことが少ないと言われているかぼちゃは赤ちゃんの離乳食にも使いやすい食べ物とされていますが、稀にかぼちゃにもアレルギー反応を起こす人がいます。
かぼちゃを食べてから数分~多くは15分以内に口の中や唇、喉などに痒み、痺れ、痛み、腫れなどの症状が現れます。
これらの症状が見られる人は口腔アレルギー症候群と呼ばれます。
口腔アレルギー症候群と呼ばれているものの、症状は口だけでは治まらないこともあり、浮腫みや蕁麻疹、腹痛、重い症状になることもあり、気管支喘息発作や呼吸困難、アナフィラキシーショックを引き起こすこともあります。
口腔アレルギー症候群の症状が出る人は花粉にアレルギー(花粉症)を持っていて、かぼちゃとは一見関係がないように思われますが、植物のアレルゲン(花粉)とかぼちゃのタンパク質の構造が似ていることで引き起こされます。
かぼちゃの場合、イネ科の植物とブタクサに構造が似ているのでこの植物の花粉症の人は上記症状が現れることがあります。
皮膚炎とアレルギー以外に気を付けることは?
接触で皮膚炎、経口摂取で即時型アレルギー、遅延型アレルギーの可能性があるバターナッツかぼちゃですが、他に気を付けることも紹介していきます。
バターナッツかぼちゃにはククルビタシンというウリ科特有のステロイドの一種が含まれることがあります。
「含まれることがあります」ということは全てのバターナッツかぼちゃに含まれているわけではありません。
稀なことではあるとされていますが、自然交雑によってククルビタシンを含む個体ができてしまうことがあります。
購入する際には見分ける手立てがないので避けることはできないのですが、特徴として強い苦味を持っているので、一口食べれば誰もが気づきます。
この苦みを口にしてしまった場合、少量であれば問題ないとされていますが、気づいた時点から食べ進めないことが重要となります。
ククルビタシンを大量に摂取してしまうと、嘔吐、腹痛、下痢などの食中毒を起こしてしまいます。
また、実際の症例としてククルビタシンを摂取して食中毒にかかった人が脱毛の症状が見られたという報告もあります。
苦味を感じたかぼちゃはとても危険です。
もったいないと思うこともあるかもしれませんが、食べ進めないようにしましょう。
バターナッツかぼちゃの栄養は?
あまりスーパーではあまり見かけないバターナッツかぼちゃ、栄養面もあまり知られていませんが栄養価が高いと言われています。
バターナッツかぼちゃが含むカロテノイドは強力な抗酸化作用があることで知られています。
私達の肌や体、細胞の老化を進めてしまう活性酸素、カロテノイドは過剰に発生した活性酸素を除去し、病気から体を守ってくれます。
カロテノイドは皮膚や臓器、眼組織など体の様々な場所に存在していますが、体の中で作り出すことはできないので、食事から摂ることが大切です。
眼や皮膚などの粘膜の健康を維持する働きがあり、暗順応にも役立っているので不足することで夜盲症になることがあります。
また、粘膜の健康を維持する働きは細菌から体を守り、風邪などの病気の予防に役立ちます。
近年の報告では上皮細胞での発癌物質の働きを鎮めるということがわかっています。
ビタミンB6はタンパク質と脂質の代謝(エネルギーを作り出す)に関わる成分です。
髪や皮膚、歯の健康を維持し、皮膚の抵抗力も増進します。
免疫機能の維持や女性特有のホルモンバランスの崩れを緩和する働きもあります。
体の中でのコラーゲン生成に欠かせない成分です。
コラーゲンが生成されることで血管を健康に維持し、筋肉や心臓も正常に保ちます。
日焼け予防にも働く成分で、メラニン色素の生成を抑えます。
また、抗酸化作用についての報告もあり、活性酸素を除去する働きが癌や動脈硬化を予防、老化防止などに役立ちます
バターナッツかぼちゃの食べ過ぎに関するまとめ
バターナッツかぼちゃは接触による皮膚炎、経口摂取で即時型アレルギー(口腔アレルギー症候群)、遅延型アレルギーが引き起こされる可能性があることがわかりました。
また、自然交雑によってククルビタシンを含む強い苦味を持った個体ができてしまうことがあります。
アレルギー症状が現れても食べ続ける、強い苦味があるけど食べ続けるということはアナフィラキシーショックや食中毒を引き起こす可能性もあります。
異変を感じた時の無理な食べ過ぎはとても危険なので、体調や味がおかしいと思った時は食べることをやめましょう。
栄養面に関してはカロテノイド、ビタミンA、ビタミンB6、ビタミンCなど他にも多くの成分が含まれていて、抗酸化作用や肌の健康維持など多くの働きが期待されます。
皮膚炎と聞くとなかなか手の出しづらいところではありますが、栄養価も高く、普段食べるかぼちゃとは違う味が楽しめるので食事に取り入れてみてもいいですね。
コメントを残す