茶カテキン飲料とは一般的な緑茶よりカテキン(苦味成分)の含有量が多い飲料を指します。
「高濃度茶カテキン」と称され、花王や伊藤園などから特定保健用食品として販売されているものもあります。
トクホとして扱われているものもあるということであれば、実際の効果も気になるところですよね。
健康に良さそう、と飲み過ぎている人いませんか?
その飲み過ぎに危険が潜んでいるかもしれません。
副作用が引き起こされて、体が危険にさらされてしまうかも・・
今回は『緑茶の飲み過ぎは危険?茶カテキンにはどんな効果や副作用があるの?』について紹介します。
茶カテキン飲料を飲み過ぎても大丈夫?
茶カテキン飲料を摂る際に注意しなければならない成分が含まれています。
コーヒーなどに多く含まれる「カフェイン」、他に「タンニン」、「シュウ酸」です。
一つずつ詳細を説明していきます。
カフェインについて
カフェインの一日の摂取量の上限は300~400㎎と言われていて、一般的には1g以上を摂取することで副作用、中毒症状、体に異常を感じるとされています。
一般的な緑茶のカフェイン含有量は30㎎、花王ヘルシアのカフェイン含有量は80㎎とされているので参考にしてください。
カフェインには興奮作用があり、中枢神経や消化器などへの刺激となります。
そのため、手の震え、嘔気、動悸、焦燥感、不眠などの症状が現れ、酷い場合にはうつ病、精神錯乱、こむら返りなどが起きることもあります。
また女性の生理前の時期にはカフェインの摂取に注意が必要です。
ホルモンバランスが安定しない生理前にカフェインを摂り過ぎると、エストロゲン(卵胞ホルモン:子宮に作用する・女性らしい体を作る・自律神経の安定などの作用)が過剰分泌され、脳が子宮を守ろうとする指令を出し、生理痛が重くなってしまいます。
更に女性には肌への影響も気をつけたいところで、カフェインの持つ利尿作用から体に必要なミネラルやビタミンが排出されてしまうこと、覚醒作用による寝不足がターンオーバーを乱してしまうことで肌荒れを起こしてしまいます。
先程、不眠と言うワードを出しましたが、目を覚ますメカニズムは中枢神経にあるアデノシン(疲れや眠気の信号)を受ける部分にカフェインがくっつくことで成り立っています。
この部分にカフェインが長く留まることで眠れなくなるほか、興奮作用で血圧の上昇や動悸などの症状が起き、更に眠りが浅くなってしまいます。
他に「カフェイン離脱症状」という継続してカフェインを摂取している人に起こりやす症状があげられます。
カフェインにはそれほど依存性はありませんが、依存症の様な症状が起きます。
これは継続してカフェインを摂取している人が一日摂取をやめようとすると起きる症状を指し、眠い、ボーっとする、頭痛、胃痛、嘔気、不安、注意力散漫などが見られます。
カフェイン離脱症状はカフェインを摂取すると治まります。
カフェインは一度に上限以上の過剰摂取することで起きる急性中毒と、過剰摂取を長く続けることで起きる慢性中毒がありますが、どちらの中毒症状も最悪死亡の恐れもあるので摂取には十分注意してください。
タンニンについて
タンニンには一日の摂取量や上限が決められているわけではありませんし、体に悪い成分ではありません。
ですが、摂り方に注意が必要となります。
タンニンは体の中で鉄と結合しやすい性質を持っています。
鉄には肉類や卵黄などに含まれる「ヘム鉄」、ほうれん草や大豆などの植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」がありますが、タンニンと結合しやすいのは「非ヘム鉄」です。(ヘム鉄については影響なしと言われています。)
結合することで水に溶けにくくなる特徴を持ち、本来腸で吸収される鉄分がそのまま体外へ排出されてしまい、体に吸収することが難しくなってしまいます。
鉄分の吸収が阻害されてしまうと体に必要な鉄分が不足しがちになります。
血液と密接な関係がある鉄分ですから、不足することで貧血が引き起こされる可能性も出てきます。
また、葉酸の働きを弱めてしまう作用があります。
葉酸と言えばマタニティママやお腹の中の赤ちゃんの成長に欠かせない成分ですが、茶カテキン飲料はカフェインも含まれていることから赤ちゃんの成長に支障を来たす可能性もあり、茶カテキン飲料自体をマタニティママや授乳中のママにお勧めすることはできません。
他にタンニンは摂り過ぎることで便を固くする働きがあることから、便秘になりやすくなります。
タンニンには収れん作用があり、下痢止めにも使われる成分です。
血管が収縮することで腸への血液量が減少し、腸の蠕動運動が弱くなってしまい、便がスムーズに移動できなくなることでも便秘へとつながってしまいます。
シュウ酸について
ほうれん草や山芋などにはシュウ酸が含まれていることは有名ですが、茶カテキン飲料や緑茶にも含まれています。
シュウ酸はカルシウムと結合することで結石を作り出してしまい尿路結石などを招いてしまいます。
通常シュウ酸は腸内でカルシウムと結合して便として体外へ排出されるのですが、摂り過ぎて余ってしまったシュウ酸は尿から体外へ排出されます。
その時に尿の中でカルシウムと結合してしまうと石のようなかたまりとなって、腎臓や尿管に影響を及ぼしてしまうのです。
シュウ酸の過剰摂取だけではなく、カルシウムの過剰摂取からも尿路結石へとつながってしまうことがあるので、バランスよく摂取していくことが大切になります。
肝機能障害が起きるのはホント?
海外で茶カテキンのサプリメントを摂取したことによって、肝機能障害を発症した例があり、健康に被害を及ぼす可能性があると一部の国では高濃度茶カテキン飲料は販売されていません。
メーカーの説明として通常のお茶の抽出方法、サプリメントとして摂取したことが原因となっているとして、安全性に問題はないとしています。
普通にお茶として飲む分には問題はないようですが、サプリメントとして摂ること、お茶の抽出方法の安全が確保されていないものは控えた方が良さそうです。
茶カテキン飲料から得られる効果
体への害について説明してきましたが、トクホというだけあって茶カテキン飲料には当然いいところもあります。
花王からは「ヘルシア」、伊藤園からは「カテキン緑茶」がトクホとして発売されています。
ヘルシアは脂肪の分解、消費もする(脂肪を代謝する力)、カテキン緑茶は ①血中コレステロールを減らす ②脂肪の吸収を抑える といった働きが得られるようですが、他にも茶カテキン飲料から効果が得られるようなので紹介していきます。
抗酸化作用とは?
茶カテキンはビタミンEの抗酸化作用の約50倍もの力を持っているとされています。
ストレスや普段の生活から活性酸素は発生してしまいますが、強い抗酸化作用を持つので活性酸素の除去、細胞の老化防止などの期待ができます。
お茶自体にビタミンC、ビタミンE、β-カロテンなどの抗酸化成分が含まれているため、それぞれが作用しあって効果を発揮してくれるでしょう。
抗菌作用について
茶カテキンは強い抗菌作用を持ち、胃がんや胃潰瘍の原因となるヘリコバクターピロリ菌や赤痢菌、コレラ菌、O-157などの食中毒の原因となる菌を増殖抑制作用があります。
実際に少量のカテキンでブドウ球菌、腸炎ビブリオ菌、ボツリヌス菌、O-157などほとんどの食中毒の菌が死滅するというデータが出ています。
またお茶でうがいすることによって茶カテキンが抗菌作用を働かせます。
ダイエット効果はあるの?
茶カテキンには脂肪を分解する酵素を助けて働く役割があり、運動をする前に摂取することでダイエットに役立ってくれます。
また、先程紹介したタンニンにも茶カテキンと同じ役割(脂肪を分解する酵素を助ける)があるため、油っぽいものを食べた後に摂取しても、運動前、食事前に摂取しても効果的にダイエットを進めることができます。
生活習慣病の予防について
茶カテキンには胆汁酸を排泄しやすくする働きを持ち、血中コレステロールが高くなることを抑制する作用があるので、食事を食べ過ぎたというときにも飲んでおくとよい飲料です。
悪玉コレステロールの増殖も防ぐ作用があるので、動脈硬化が原因で引き起こされる心疾患、脳血管疾患などの予防になります。
また、高血圧の原因と言われる「アンギオテンシンⅡ」を作る酵素の働きを抑制すると言われています。
茶カテキンは血圧を安定させる作用があるので高血圧の予防・改善に期待ができます。
お茶にはテアニンというリラックス作用のある成分も含まれているので脳の興奮を抑え、血圧の上昇を防ぎ、血圧を下げる働きもあることから相乗効果が得られるでしょう。
糖質を分解する酵素の働きを抑制し、糖質の吸収を穏やかにして血糖値の急激な上昇を防ぐ働きがあるので、糖尿病の予防にも期待ができます。
一日あたりのカテキンの摂取量について明確なものはデータとしてありませんが、1000㎎を摂取すると良いと言われています。
ちなみにヘルシアの花王は一日一本540㎎を目安量としています。
茶カテキン飲料の飲み過ぎと効果に関するまとめ
茶カテキン飲料には注意すべき成分が含まれていました。
カフェイン:興奮作用、中枢神経の刺激、消化器の刺激
タンニン:鉄分吸収の阻害、葉酸の働きを弱める、便秘
シュウ酸:尿路結石
これらの作用で健康に被害が及ぶ可能性もあります。
飲み過ぎることがなければ、生活習慣病の予防、抗酸化作用、抗菌作用、ダイエット効果などが幅広く期待できる飲み物です。
飲み過ぎには注意が必要ですが、茶カテキン飲料の効果を是非実感してみてくださいね。
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