カボスは焼き魚や刺身、天ぷら、うどんなど、料理の引き立て役として活躍しています。
普段から使っていてもカボスの栄養効果を知らない人も多いのではないかと思います。
実は知られていないだけでカボスの果肉には嬉しい栄養と効果があるようです。
そんなカボス、香りが良いからと使い過ぎてしまっている人はいませんか?
使い過ぎには注意が必要となる副作用があることを知っていましたか?
そこで今回は『カボスの栄養効果とは?食べ過ぎで副作用があるの?』をテーマに紹介します。
カボスの食べ過ぎで副作用はあるの?
カボスの多量摂取による副作用は確認されていませんが、何でも度を越えた食べ過ぎは体に害になることがあります。
今回はカボスに含まれている成分から考えられる副作用を紹介します。
カボスにはクエン酸が多く含まれていると述べましたが、胃の弱い人が空腹時にクエン酸を摂ること、また空腹時ではなくてもクエン酸を摂り過ぎることは胃痛や嘔吐などの消化不良を起こしてしまうことがあります。
また、クエン酸は酸蝕歯(さんしょくし:歯がとける)にも注意した方がいいとされています。
強い酸度であるクエン酸の刺激を長時間歯に与えることで歯のエナメル質からリン酸カルシウムが溶けだしてしまう可能性があります。
ビタミンCは上限量が決められているわけではありませんが、摂り過ぎると副作用が現れます。
ビタミンCは強い酸性の成分なので一時的ではありますが、喉やけ、胸やけ、胃痛などが起きる可能性があります。
他に、ビタミンCは緩下作用があり、一度に摂り過ぎてしまうと下痢を起こす可能性があります。
これはビタミンCの働きによって腸の働きが高まることで起きることです。
これも一時的な症状なので空腹時を避ける、摂取量を見直すなどで様子を見て摂るようにしましょう。
ナリンジンは食べ過ぎの副作用に注意というわけではなくて、降圧剤などの薬を飲んでいる人が注意するべき成分です。
「高血圧の薬を飲んでいる人はグレープフルーツを食べてはいけない」と聞いたことがありませんか?
これはその薬の持つ効果を強めたり、阻害したりする働きがあることから言われていることで、ナリンジンを含むカボスにも注意が必要となります。
カボスの栄養効果は?
柑橘類はクエン酸を多く含むものが多いですが、カボスに含まれるクエン酸はレモンの2倍もの量で、柑橘類の中でもトップクラス含有量です。
筋力トレーニングや短距離走などの運動をすると蓄積する乳酸、クエン酸はこの乳酸が原因で起きる疲労、筋肉痛を予防・改善する働きや乳酸の生成を抑制する働きがあります。
クエン酸の他の働きとして、血流を改善するということがあげられます。
血流改善は体の中のいたるところに働き、動脈硬化や高血圧などの生活習慣病、冷え性、肌トラブル、生理痛などの予防・改善に期待ができ、新陳代謝の向上にも役立ちます。
また、クエン酸はキレート作用を持ち、私達の体に不足しがちなミネラルが酸化してしまう前に吸収するという働きの他、SOD(スーパーオキシドディスムターゼ)と呼ばれる抗酸化物質の働きを活発化させます。
このことから細胞や肌の老化を防ぎ、ガンや生活習慣病などの病気やシミ・シワなどの肌トラブルの予防・改善に役立ちます。
カボスはクエン酸の他にもビタミンCを多く含んでいます。
ビタミンCの働きは骨や腱、細胞と細胞を結合するために必要なコラーゲンの生成に必要なもので、皮膚や粘膜、歯や骨を健康に保つために役立っています。
特にストレスを多く抱える現代人がしっかりと摂取することで、精神的ストレス、物理的ストレスに対する抵抗力を強めます。
また、血液中の白血球やリンパ球がビタミンCを多く含んでいることから細菌やウイルスが体内に入れば攻撃をして、風邪などの病気にかかることを防ぐだけではなく、自己治癒力も高めます。
抗酸化作用も近年では注目されていて、肌や細胞の老化、動脈硬化やガンの予防に役立つ成分と期待されています。
ガンの予防については、体内のいたるところで合成される発ガン性物質「ニトロソアミン」に対し、ビタミンCがニトロソアミンの合成を阻害する働きがあると実際に報告がされています。
ヘスペリジンは柑橘類に含まれますが、特に熟す前の青い柑橘類の皮・袋・スジに多く含まれる成分で、ポリフェノールの一種です。
ヘスペリジンは血管の柔軟性を保つ働き、毛細血管の強化やメンテナンスをする働きがあります。
これは先程ビタミンCのところでも述べている風邪の予防とも関係があり、ヘスペリジンとビタミンCは共に毛細血管からの出血や細菌が細胞内へ侵入することを防いで、毛細血管のメンテナンスを行うことで免疫力を高めることにつなげています。
また、血流改善作用があり、中性脂肪の低下、コレステロール値の改善にも期待ができ、動脈硬化や高血圧などの予防にも役立ち、女性に多く見られる冷え性の改善にも有効とされています。
カボスにはナリンジンという強い抗酸化作用を持つ成分が含まれています。
ナリンジンは熟す前の柑橘類の皮に多く含まれる成分で、苦みや刺激の元となるものです。
ポリフェノールでフラボノイドの一種、テレビでも紹介されたこともあって話題の成分です。
ナリンジンには大腸内の活性酸素を低減、ガン細胞の発生と増殖を抑える働きがあります。
カボスの生産量が日本一で出荷量が全国の98%を誇る大分県、やはり家庭料理にも使われることが多く、大腸ガンによる死亡者数が全国で一番少ないとされています。
他の作用として、脂肪酸の分解、コレステロールの抑制作用があるので生活習慣病の予防やダイエットに期待ができ、抗アレルギー作用もあります。
刻んだり、シロップ漬けにしたり、皮も一緒に食べることがポイントとなります。
カボスという名前でありながら、カボスの皮にはスダチチンというポリフェノールの一種である成分が含まれています。
スダチチンは脂質代謝を改善する働きがあり、中性脂肪を低減、脂肪の蓄積を抑制、エネルギーの消費量を高める作用があることから生活習慣病の予防や肥満の抑制が期待できる成分です。
また、研究段階ではありますが血糖値を下げる働きを持ち、糖尿病の治療にも期待ができる成分です。
他にも抗酸化作用、抗炎症作用、発ガン抑制作用の報告もあげられています。
カボスの見分けはつきますか?
今回はカボスをテーマに紹介してきましたが、皆さんはカボスと他の柑橘類の見分けがつきますか?
皮の色が同じ柑橘類も多いので見分けられない人も中にはいるでしょう。
そこで、カボスと近縁種にあたるユズとスダチとの違いを紹介します。
カボスについて
カボスは大分県がダントツの収穫量を誇っていて、その量は全国の約9割を占めます。
ハウス栽培や貯蔵されているものがあるので一年を通して売られているのを目にしますが、旬の時期は8月末から10月にかけてです。
テニスボールほどの大きさで重さが100~150g程度と大きめです。
味は独特な風味を持ち、酸味が強いという特徴を持ち、刺身、天ぷら、鍋物などにおすすめです。
ユズについて
ユズの産地は高知県が全国一位で、国内シェア40~50%を占めています。
旬は青ユズが8月、黄ユズが11月~1月です。
大きさはカボスとスダチの中間程の大きさで、皮がでこぼことしていてカボスとスダチとは違うので見分けられるでしょう。
香りがとても良く、果肉は強い酸味を持ちます。
ユズ酢として料理やお酒に使われたり、皮ごとお菓子に使われたりと幅広く使われ、調理しても風味が良いことで知られます。
スダチについて
スダチの収穫量は徳島県がダントツで全国一位、その量は全国の約9割を占めます。
スダチもカボス同様、ハウス栽培や貯蔵されているものがあるので一年を通して手に入りますが、旬の時期は8月中旬~10月中旬です。
スダチはカボスやユズと比べると小さく、大きさは25~50g程度、売られているものの大半は未熟果(皮が緑色のもの)です。
香りはさわやか、酸味はほどよく、成熟した皮がオレンジ色のものより未熟果の方がいい香りがします。
焼き魚やマツタケ料理に添えられることが多く、さわやかな香りを楽しみます。

カボスの食べ過ぎに関するまとめ
カボスにはクエン酸、ビタミンC、ヘスペリジン、ナリンジン、スダチチンなどの栄養素が含まれていました。
これらの栄養素から得られる効果は多く、筋肉疲労や筋肉痛の予防・改善、血流改善作用から冷え性、動脈硬化など生活習慣病の予防・改善、代謝アップ、皮膚・粘膜・歯・骨を健康に保つ、抵抗力・免疫力アップ、抗酸化作用、抗アレルギー作用、抗炎症作用などがあげられます。
副作用については確認がされていませんが、クエン酸やビタミンCの多量摂取で一時的ではありますが、胃痛、嘔吐、下痢などの消化不良を起こす可能性があります。
クエン酸については酸度が強く、酸蝕歯の可能性もあるので長時間の刺激は注意した方がいいでしょう。
ナリンジンは降圧剤などの薬と一緒に摂取することで効果を強めたりすることがあるので注意が必要となります。
一部の薬を飲んでいる人には注意が必要となりますが、多くの効果を得ることができるカボス、中でも注目すべきはナリンジンの持つガンの発生と増殖を抑制する働きです。
大分県の食事の様に毎日取り入れることは難しいかもしれませんが、少しずつ取り入れて体を健康にしましょう。
コメントを残す