高カカオチョコレートは20年程前に日本でも発売されたのをきっかけに健康や美容に良いと度々テレビや雑誌などでも話題になっています。
近年ではそのブームも再燃し日本で発売された当初よりも種類も増え、幅広い年齢層の人に食べられています。
チョコレートが好きな人はなかなか止められないその手、つい食べ過ぎてしまうこともあり、体に害がないか不安になります。
一日の摂取上限量も知って正しく食べたいですよね。
今回は『高カカオチョコレートを食べ過ぎると害はあるの?一日何個までなら大丈夫?』をテーマに紹介します。
高カカオチョコレートの食べ過ぎは害がある?
健康や美容に良いはずの高カカオチョコレート、過信はやはりよくないようで体に害があるようです。
カロリーと脂質が高い
スーパーなどで購入できる高カカオチョコレートは、カロリーと脂質が高くなっています。
例として明治の「チョコレート効果」、森永製菓の「カレ・ド・ショコラ」を見ると、一個あたり(4.8~5g)のカロリーが27~30kcal、脂質は1.9~2.5gとなっています。
一個あたりを見るとカロリーは低く、脂質は少ないように思えますが、食べ過ぎには注意が必要です。
高カカオチョコレート(12種)と普通のチョコレート(3種)の100gあたりのカロリーと脂質の比較データがあります。
カロリーは高カカオチョコレートが100gあたり592~655kcal、普通のチョコレートが100gあたり562~571kcal、比較すると高カカオチョコレートの方がわずかばかりが高くなっていますが、あまり差はありません。
脂質は高カカオチョコレートが100gあたり40.7~53.5g、普通のチョコレートが100gあたり34.2~36.1g、比較すると1.2~1.5倍の差があります。
普通のチョコレートとの比較は大差がないように思われますが、カロリーと脂質のいずれも高いことには違いありません。
カロリーと脂質の摂り過ぎは生活習慣病や肥満、メタボリックシンドロームなどの原因となるので、健康効果をうたっている高カカオチョコレートの食べ過ぎにも注意が必要となります。
テオブロミンとカフェインには注意
コーヒーなどに含まれるカフェインはよく耳にしますが、テオブロミンもカフェインも「キサンチン誘導体」という物質です。
他にテオフィリンやパラキサンチン同じ類で、興奮剤、気管支拡張剤、利尿剤など治療薬としても用いられることがあります。
チョコレートは生理作用(気管支拡張、利尿作用、興奮作用など)を持つテオブロミンとカフェインが含まれているのですが、特に高カカオチョコレートの含有量は多く、普通のチョコレートの2~4倍ほどの量が含まれています。
テオブロミンもカフェインも摂取量が適量であればリラックス効果があるものですが、摂り過ぎには注意が必要となります。
感受性には個人差がありますが、幼児や高齢者などこれらの成分に敏感である人と気管支喘息などの治療薬で同じキサンチン誘導体であるテオフィリンを服用している人の高カカオチョコレートの食べ過ぎは何らかの生理作用を引き起こす可能性があるので注意が必要となります。
これらの成分は中毒の恐れもあり、震え、頻脈、不整脈、吐き気、苛立ちなどの症状があげられます。
チョコレートなのにカドミウムとニッケル?
カドミウムとニッケルは金属ですが、実はチョコレートにも含まれていることがわかっています。
カドミウムについては土壌由来のもので緊急性のある含有量ではありませんが、ニッケルは普通のチョコレートと比較すると1.9~3.8倍の量が含まれています。
ニッケルは金属アレルギーのアレルゲンとしての症例が多く、経口摂取による発症もあることからニッケルアレルギーの人は注意が必要となります。
また、カドミウムもニッケルも発癌性があるとされています。
微量のアフラトキシン(毒素)
問題となる量ではありませんが、高カカオチョコレートにはカビ毒の一種であるアフラトキシンが含まれることがあります。
アフラトキシンは熱耐性であるため、加工時に熱が加えられても分解されないこともあるので商品として店頭に並ぶものの中にも残留してしまいます。
現時点でアフラトキシンの除去は困難となっていて、規制値10㎍/kgと定められています。
加工時に収穫後のカカオ豆を発酵する工程があり、この段階でカビに汚染されてアフラトキシンを産出することがあります。
アフラトキシンの大量摂取や長期摂取は肝臓障害や肝臓癌などの健康被害が報告されています。
一日にどれくらいまでなら食べていい?
さまざまな健康被害の可能性があることがわかりましたが、高カカオチョコレートの摂取目安量は決められているのでしょうか。
本来、健康や美容のためにと話題になっている高カカオチョコレートもやはり食べ過ぎてしまうと既に述べている健康被害が考えられるので一日の摂取目安量を25~30gにしましょう。
スーパーなどで購入できる「チョコレート効果」は1個5g、「カレ・ド・ショコラ」は1個4.8gとなっているので、一日に5~6個ほどならカロリーや脂質の面から見ても影響がない量であると言えます。
高カカオチョコレートが話題のワケ
高カカオチョコレートブームが再燃、健康や美容にいいという理由を探っていきましょう。
高カカオチョコレートの原料であるカカオ豆には「カカオポリフェノール」や「カカオプロテイン」が含まれていて、これらの成分が健康や美容のカギとなっています。
カカオポリフェノールは血管拡張作用があります。
高血圧の人の血管は動脈硬化など血液の通り道が細くなっているため血圧が上がっている状態です。
カカオポリフェノールを摂ることにより血管が広がり、血液の通り道の状態がよくなることで高血圧の改善につながります。
高血圧の原因ともなる動脈硬化。
動脈硬化は体内で発生した活性酸素によって酸化された悪玉コレステロールが原因の一つとされています。
カカオポリフェノールは強い抗酸化作用を持っているので、酸化の原因である活性酸素の除去に働き、動脈硬化の予防に期待ができます。
強い抗酸化作用を持つカカオポリフェノールは動脈硬化の予防だけではなく、老けて見られる原因となるシミやシワまでも予防してくれます。
肌老化の原因は動脈硬化と同じく活性酸素、細胞や肌の老化を進めてしまうことにあります。
カカオポリフェノールが持つ抗酸化作用が活性酸素の働きを抑制することで、肌を若々しく保つことにつながります。
カカオポリフェノールの抗酸化作用は認知症の原因となっているアミロイドβタンパクの蓄積を抑制することにも働きます。
脳の活動をサポートしているBDNFと呼ばれる栄養を増やす役割があります。
BDNFは脳の活動のサポートをしていますが、神経細胞の発生・成長や再生・維持などを促し、脳の活動を活発化させ、記憶や学習、認知機能を高めることが少しずつわかってきています。
カカオプロテインには便通を改善する働きがあります。
カカオプロテインは難消化性であることから大腸にそのまま届きます。
大腸に届いたカカオプロテインは便の量を増やす、腸内細菌による蠕動運動の促進、腸内環境を良くするなどの効果をもたらし、便通を良くしてくれます。
高カカオチョコレートの食べ過ぎに関するまとめ
高カカオチョコレートは食べ過ぎるとカロリーと脂質が高いことから肥満や生活習慣病になる恐れがあります。
また、含まれる成分のテオブロミン・カフェインは生理作用(気管支拡張作用、利尿作用、興奮作用)などに注意が必要で、カドミウム・ニッケルは金属であり、ともに発癌性物質であることとニッケルにいたっては金属アレルギーの原因となることが多いとされています。
アフラトキシンは高カカオチョコレートからの大量摂取や長期摂取は考えづらいですが、肝臓に障害をもたらす可能性があるとされています。
上記から一日の摂取目安量は25~30gとされています。
高カカオチョコレートが話題なのにはわけがあり、カカオポリフェノール、カカオプロテインが持つ抗酸化作用や便通を改善する働きがあるからと言えます。
適量を食べてその効果を実感しましょう。
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